精神分析について知りたいあなたにおすすめする本6選

 精神分析について何回かに渡って説明をしてきました。
 

 
 今回は精神分析について詳しく知りたい方にオススメの本をあげたいと思います。

 

精神分析の肌触りを知る3冊

 理論を知る前に、まず精神分析が「どんな感じ」なのかを知るための3冊をあげたいと思います。精神分析の肌触りとでも言えばよいでしょうか。それは各分析家によって微妙に違う部分もありますが、どこか共通する部分があるのも事実です。この肌触りを知ることは、精神分析の理論についての理解の近道にもなると思います。
 
 
「落語の国の精神分析藤山直樹
落語の国の精神分析

落語の国の精神分析

 

  数少ない日本の精神分析家の1人であり、また年に一度落語会をやるほどの熱心な落語ファンである著者が、落語のネタとからめて精神分析について語った(もしくは精神分析にからめて落語について語った)エッセイ集。精神分析の実践を真摯に続けている分析家にしか描けない「精神分析の本質」に触れることが出来る一冊です。落語、精神分析双方に通じる、人間の性、業を、情緒豊かな文章で描いており、落語を知らない人が読んでも読み物として十分に面白いです。

 
 
精神分析たとえ話:タヴィストック・メモワール」飛谷渉
精神分析たとえ話: タヴィストック・メモワール

精神分析たとえ話: タヴィストック・メモワール

 

 イギリスで精神分析を学び体験した著者による、精神分析を受けることについての「指南書」。言葉では説明しがたい精神分析の世界について、著者のイギリスでの体験やさまざまなたとえ話を通して迫っていきます。ところどころ専門用語が説明なく出てくるので、基本的な知識がある方が理解しやすいところもありますが、臨床家だけでなく一般の読者も一応想定しているとのことで、文章自体は読みやすいです。著者のユーモアや深い教養を楽しんでいるうちに、精神分析体験の一端について知ることのできる1冊となっています。

 
 

「最後の授業 心をみる人たちへ」北山修

最後の授業――心をみる人たちへ

最後の授業――心をみる人たちへ

 

  最も著名な日本の精神分析家である北山修九州大学を退官する際の最後の授業を書籍化したものです。<見るなの禁止><自虐的世話係>などの概念を生み出してきた、神話や昔話を通してみる日本人の心についての論考が読めます。また、元ミュージシャン・作詞家である北山ならではの、マス・コミュニケーションとパーソナル・コミュニケーションの対比やフロイトの芸術への葛藤についても書かれています。冗談も交えながらの軽妙な語り口で読みやすいですが、端々に、特異な経歴を経てきた葛藤や臨床家としての矜持が見え隠れし、著者自身の人物像の深みと魅力も溢れている1冊です。

 
 

精神分析の理論を知る3冊

 精神分析の理論を知るために、比較的とっつきやすく、かつ内容も信頼できるものを選んでみました。
 
「面白いほどよくわかる フロイト精神分析立木康介

  こういった「よくわかる」系の本には、理論や概念を分かりやすくしようとする余り、正確性が乏しくなってしまうものが多いですが、この本は比較的、正確性と分かりやすさが両立しています。正確性が保たれているのは、監修である立木康介が、日本を代表する(思想としての)精神分析学研究者の1人であることが大きいかと思われます。精神分析以前の精神医学、フロイトの人生、フロイト以後の分析家と理論について、ざっと知りたいという方におすすめ。日本の精神分析の現状や問題点についても正しく(少し辛らつに)書かれています。

 
 
「集中講義・精神分析藤山直樹
集中講義・精神分析?─精神分析とは何か フロイトの仕事

集中講義・精神分析?─精神分析とは何か フロイトの仕事

 

 

集中講義・精神分析 下 フロイト以後

集中講義・精神分析 下 フロイト以後

 

  「落語の国の精神分析」の著者による精神分析についての講義をまとめたものです。学部向けの講義であるため、精神分析を全く知らない人でも理解しやすいものとなっていますが、フロイトの生涯や理論から、その後の精神分析の発展、日本の精神分析の実情、精神分析という実践や精神分析家という生き方の実際など、その内容は大変充実しています。話し言葉で書かれており読みやすく、また、何といっても理論がとても生き生きと描かれています。2冊に分かれておりボリュームがありますが、お堅い教科書を読む前に、ぜひ目を通して欲しい1冊です。

 
 
「生い立ちと業績から学ぶ精神分析入門:22人のフロイトの後継者たち」乾吉佑
生い立ちと業績から学ぶ精神分析入門:22人のフロイトの後継者たち

生い立ちと業績から学ぶ精神分析入門:22人のフロイトの後継者たち

 

   フロイト以後の精神分析家の理論を、その分析家の生い立ちと共に解説する1冊。理論だけでなく、生い立ちにもクローズアップしたという点が新鮮です。フロイトが父の死をきっかけにエディプスコンプレックスという概念を作り上げたように、精神分析家の理論はその人生や性格と密接に絡んでいることが多いです。生い立ちを知ることで分析家が身近に感じられると同時に、各理論や概念はまさに分析家の人生を賭して産み出されたものなのだという感慨を覚えます。

 コンパクト にまとめてあり読みやすいですが、内容は精神分析の基本的な知識がないと少し分かり辛いところがあるかもしれません。

  
 

フロイトは最後に読もう

 精神分析創始者であるフロイトの本が1つもないじゃないか、と思う人もいるかと思いますが、最初からフロイトの本を読むことはあまりお勧めしません。というのも、フロイトの著作は、時代背景やその後の精神分析理論の発展などを知らないと、理解しづらかったり、誤って理解してしまうことも多く、「フロイト読んだけど小難しいだけでつまらなかったわ」となってしまいがちだからです。
 
 ただ、フロイトの著作自体は今読んでも十分に面白いですので、ある程度、精神分析の理論や歴史を知った後で、副読本などを片手に読んでみることをおすすめします。